11/14・15

この記録は毎週の馬券記録を、私が大好きである、毎週末Gallopの巻末に連載している藤代三郎氏執筆の“馬券の真実”風に書いたものです。



飽きるまで毎週月曜日か火曜日にうpしていく予定ですので、読みたいという奇特な方だけ読んで言ってください(笑




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今週も日曜日は一口馬主のたまけんと府中の予定であった。なんでも、彼の出資している馬が府中でデビューするというので、わざわざ名古屋から応援に駆けつけるのだと。私は毎週大体日曜日は府中にいるから、それなら一緒に競馬できるなと週中からウキウキしていたのだが、そのたまけんから水曜日にメール。「出走しないことになったから府中は行きません」とのこと。それでは仕方ないなあ。私は彼と競馬をするのを楽しみにしていたので残念ではあるが、事情が変わったのだから仕方ない。しかし、自分の馬が出走するだのしないだので週末の予定が変わってしまうって、一口馬主も大変だなぁ・・・と思う。私なんて府中は近いから、仮にこういう事態が起こっても全然余裕だが、彼は名古屋在住なのである。私とはわけが違う。

という事態で迎えた5回東京4日目、つまりエリザベス女王杯デーの東京競馬場。この日はいつも以上に気合が入って迎えた朝である。というのも、自慢じゃないが私土曜日はオール見である。競馬場にはもちろん行っていないし、PATで馬券も買っていない。別にそんなこと普通じゃないかと思う人もいるかもしれないが、違うのである。私にとって、週にたった2日しかない競馬開催日に馬券を買わないということは、一週間の楽しみが2日から1日になったのと同じである。私、競馬場に行って馬券を買ってレースを観るのが、他のどんなことよりも好きである。人生の至福の瞬間なのだ。オール見するということは、その至福の瞬間を自ら放棄したということである。馬券中毒者にとってオール見とは、それくらい大きなことなのだ。なんでオール見したかというと、土曜日は別の用事があったこと、主戦場の福島が傾向が変わってきてイマイチ掴みきれていないこと、先週大敗したことなど様々な理由があるのだが、大事なのはオール見したという事実である。だからこの男は、前日検討にもいつも以上にたっぷりと時間をかけ、勝負レースはどこにするだのどういう馬券を買うだのと、日曜日の流れを何度も何度もシュミレートして、そんなこんなで迎えたのが日曜日である。まずそういった経緯をご理解していただきたい。

というわけでレースである。前日予想の結果、この日の勝負レース候補は福島2R、福島10R須賀川特別、京都11Rエリザベス女王杯である。さっそく福島2R(2歳未勝利・1200m)、今日の勝負候補のレースである。私の◎はペガサスガール。昨日福島で来まくっていたダンスインザダークの産駒である。この馬は前走9着と凡走したものの、その前は阪神で2着。私の予想では、前走の大敗が嫌われてこの馬の単勝は15〜20倍である。ところが、なんと蓋を開けてみるとこの馬の単勝は8倍である。そんなバカな!他に前走で馬券に絡んだり掲示板に載ったりしている馬がたくさんいるのに、何で前走大敗のこの馬が単勝で10倍もつかないんだ!私一気にやる気をなくした。というのも、私は前日予想に◎にした穴馬が、当日、予想したよりもはるかに人気していると一気にやる気がなくなる。これはその典型といっていい。こんなのは買ってられないよなぁとレースを見送ると、そのペガサスガール先行して抜け出す。最後は頭差だけ内からすくってきた馬に交わされたものの、複勝350円で馬連が2180円。このレースで勝負していれば楽に取れていたと思うが、なーに、他にレースはいくらでもあるのだ。
続いての購入レース候補は福島の6R。先ほどと同じく芝1200mのレースであるが、私の◎は同じくダンスインザダーク産駒のシュウザンゴールド。しかし、2Rほどの自信はない。逆転まである○はダンスインザダークと似た血統構成のスペシャルウィークを父に持つロングゼネラル。前走芝1400mを使っているのもいい*1。オッズを確認してみると、単勝オッズで◎は25倍程、○は7倍前後をウロウロしている。○は2Rのペガサスガール同様予想よりもはるかに人気しているが*2、◎は十分なオッズである。◎○の単勝、◎○の馬連ワイドを一点ずつ買ってレースを見守ると、◎○とも前半は後方から。3角から徐々に進出して直線大外に持ち出すと、揃って猛然と追い込んできて鼻面をあわせてゴール。直線猛然と追い込む時は、叫ぶうってつけの場面である。モニターに向かって思いっきり「差せ!差せ!!」と強く叫ぶ瞬間は、競馬をしていて一番楽しい瞬間である。しかし、私は一切声が出ない。なぜかというと、これ、3着争いである。◎○、どちらが先着したか非常に際どいが、どっちが先着していても複勝は買っていないからなんにもならない。結果、3着は○の方。つまりワイドを買って3・4着とまあよくあるパターンである。

もう福島は堅すぎてつまらん*3。他場にも手を出そうと思い、買ったのが京都8Rの黄菊賞。私、若駒のレースはわりと得意である。このレースはスミヨン騎手騎乗のダノンパッションが断然の1人気でそのオッズが1.5倍前後。要はこの馬を買うかどうかがこのレースの肝である。ダノンパッションのことは私よく知っている。強烈な決め手がある一方で、どこか勝ちきれない馬である。おまけに気性的に短いところで将来は活躍しそうな馬である。強いのは知ってるけど、ここは距離延長の断然人気で絶好の消しどころだなと、6番ヒットメーカーの単勝とこの馬からの馬単を少しだけ買ってレースを見守ると、ヒットメーカーは終始先頭の馬の外をピッタリとマーク。外回りの坂をゆっくり下って、さあここから直線というところで、なんか1頭次元の違う脚で飛んでくるではないか。“おお!なんだあの馬は!”と思ったら、断然人気のダノンパッションである。他馬とは次元の違う脚で、あっという間に差しきってしまった。あまりにも鮮烈すぎて、私まったく声がでなかった。完敗
続いて同じく若駒戦の東京9R赤松賞の断然人気ブルーミングアレーを嫌い、1番マイネノーブレス・2番ウインマリアベール・5番トロンプルイユ・11番クロフォードの単勝4点買い*4をするものの、まったく眼中になかったアパパネがこれまた大外から次元の違う脚でブッコ抜き、外れ。ふーん。

という感じで他場でも全くいいところがなく、勝負レース候補の福島10Rの須賀川特別。私の本命は3番スカイノダン。前走は休み明けで大敗したものの、1200mは4戦して全て連対している。私の新聞では、▲や△がちらほら並んでる程度で、単勝オッズ10倍、いや15倍は堅そうな感じである。ところが、この馬の単勝何倍だったと思います?なんと私が見たときは5倍台!そんなバカな。期待していた穴馬が当日オッズを確認してみると人気していることはよくあることだが、そういうことは福島などのローカルで圧倒的に多い。ローカルは新聞などを気にせずに、独自の予想理論で馬券を買っている人が多いからである。これが午前中なら2Rのように“こんなのは買ってられない”と見送るところであるが、私この日まだ1本も取っていない。このままだと今週ボウズ+先週日曜日もボウズだから2週連続の大敗である。とにかく人気してようがなんだろうが1本取りたいのである。よって◎スカイノダンと断然人気4番ベストロケーションを○で2頭軸の三連複、さらに11人気の14番ティムガッドから◎○への馬連ワイドを購入。◎は終始中段からレースを進め、直線馬群をこじ開けて追い込んだものの4着まで。14番ディムガッドは先行しあわやのシーンを演出するが、最後バテて5着。結果を見れば惜しいかもしれない。11人気のディムガッドは5着と善戦したし、◎は4着。○は人気に応えて勝利。しかし、馬券が当たらなくては何にもならない。“ああ惜しかった”では1円にもならないのである。私は馬券を当てたいの!

と、うなだれながら迎えたのが最後の勝負レース候補エリザベス女王杯であり、これがこの日のハイライト。普通の人なら、朝から行ってボウズでメインを迎えると、腐った魚のような眼をして“この世には希望も夢もなにもない”となるのが常であるが*5、この日の私は違っていた。朝からいって馬券を買い、そのたびに心が折れそうになりながらも、まだ微かな希望を持っていたのである。というのも、このエリザベス女王杯こそが真の勝負レースだったからだ。そして、この日ここまでボウズで2週連続大敗濃厚のこの男に、奇跡が訪れる。奇跡は、諦めない人が起こすものであり、諦めない人にしか訪れないのである。「諦めたらそこで試合終了ですよ」とは、どこかの太った監督の名言である。
そのエリザベス女王杯、私の◎はクィーンスプマンテ。前走、牡馬の一線級が集まる京都大賞典でHペースを自ら演出し、あわやのシーンを演出した馬である。負けたとはいっても、同じくHペースで一緒に行ったテイエムプリキュアとはわけが違う。彼女は直線早々と脱落し最後は歩くようにゴールしたが、クィーンスプマンテは最後まで踏ん張り、勝ったオウケンブルースリから1秒しか離されていないのだ。その馬が今度は牝馬限定のここエリザベス女王杯に出てきた。この中で、オウケンブルースリというJCで1人気になるかもしれないほどの馬に、自らペース作って1秒差に踏ん張れる馬がどこにいるよ?しかし、そんなこの馬の単勝オッズはなんと70倍超え。世間はそんなこと認識していないのである。オウケンブルースリ相手に1秒差の競馬をした中身を全く評価せずに、ただの“京都大賞典9着”という額面の結果だけで大敗と片付けてしまっている。そんなこの馬のオッズはおいしすぎる!人気がないということは、それすなわち乗っている騎手たちにも舐められている可能性が高いということ。断然人気のブエナビスタは後方一辺倒の馬だし、他の人気馬もブエナビスタを中心として動く。ならば◎クィーンスプマンテが完全ノーマークであれよあれよの展開も多いにあるのではないか!?これだよ、これ!と、◎の単複、馬単ブエナビスタを○にして◎○2頭軸の三連複、◎○のワイドを買ってレースを見守る。
レースは予想通りクィーンスプマンテが逃げ、前走でもともに大逃げを旅したテイエムプリキュアが2番手。ブエナビスタはいつも通り後ろから4〜5番手くらい。隊列が決まり、向こう上面に入ると前2頭がどんどん後続を離していく。“おお、いいぞいいぞ!”正しく私が描いていたシナリオ通りである。差はどんどん広がり、そのままの隊列で京都名物の坂上り坂下りである。もうこのあたりになるとレースを見守る人達から「これはまずいんじゃないか。差が開きすぎだ」だの、場内がどよめく。坂の下りで徐々にブエナビスタらがスパートしたものの、15馬身ほどのリードを保って直線へ。カメラが遠ざかり、前2頭と後続が一つの画面で捉えられると、その差のすごさがわかり、場内から悲鳴。もう呆然としている人達もいる。
誰も叫んでいない*6府中のターフビジョン*7に向かって、私もう思いっきり叫んだ。土曜日のオール見から始まり、この日ここまでボウズどころか1回も叫んでない。その1週間分の叫びを、このレースにこめたのである。
「タナパクタナパク!!そのままそのまま!!」もう無我夢中である。残り200mをきってもまだ差はかなりある。「そのままそのまま!」ブエナビスタが猛然と追い込んできたものの、届かずにそのままクィーンスプマンテが1着でゴール。まさか。自分でも信じられないが奇跡が起きたのである。その配当が、単勝7710円・複勝1410円・ブエナとのワイドが2730円。単勝複勝は、私が今まで取った単勝複勝の中で2番目の高配当である。今年1番の大当たりで、今週の負債どころか今月の勝ちを早くも確定させてしまった。まさに奇跡が起きた瞬間である。
しかし、はっと目が覚めたのは、2着にテイエムプリキュアが残ったのがわかって配当を見た瞬間である。馬連10万・馬単25万・三連複15万、三連単にいたっては154万円である。どうしてプリキュアを拾っていないのか。私は滅多に三連単を買わないから、この154万円はいいとしよう。しかし、私はクィーン・ブエナ2頭軸で三連複を買っているのである。クィーンからの馬単も買っているのである。ともに相手は、内から3,4,5,12,14である。なぜテイエムプリキュアを買っていないのか。前走は大敗したといっても、この馬は気分よく走ることさえできれば、近走不振だろうが平気で大穴を空ける馬じゃないか!お前はもう日経新春杯を忘れたのか。あの時単勝を買って「荻琢!荻琢!!」と叫びまくったじゃないか。と、大勝したもののテイエムプリキュアを買えなかったを激しく悔やむのである。単複ワイドで十分勝ったからいいじゃないのと、思う人がいるかもしれないが、ダメなのである。私のような穴党は、取れるときにこれでもか!というくらいに勝っておかないと、またすぐ負け続けるから簡単に利益が泡と消えてしまうのである。取れるときに取っておかないと、大穴馬券というのは滅多に取れない。ましてや今回の◎はクィーンスプマンテ。同じ大逃げタイプのテイエムプリキュアは拾えるではないか。なぜ前走大敗だけで簡単に切ってしまったのか。これは今週の反省である。“勝った”だの“負けた”だの結果だけに一喜一憂している人に成長はない。また同じ失敗を繰り返すからだ。これは競馬だけではなく、人生すべてに共通しているものである。
今週の教訓。穴馬に◎打つときは同じタイプの馬*8がいたら必ず拾え!


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リクエストがあったので、購入した馬券。見事にプリキュアは買っていない。




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*1:今の福島は距離短縮馬が穴をあけていることが多い

*2:というのも○のロングゼネラルは前走14着大敗

*3:前日から福島は堅くおさまる傾向があった

*4:断然人気の馬がいる場合よくこういう買い方をする

*5:私は長年の競馬場通いでそういう人をたくさん観てきた

*6:というか皆ブエナビスタから買ってるから叫べない

*7:メモリアルスタンドの前の方

*8:血統・脚質・個性等